「願いの伝播」
 ~明るい豊かな社会を目指した運動の広がり~

 一般社団法人 越谷青年会議所

 第51代 理事長 河上 祐之

はじめに

越谷青年会議所は昨年50周年を迎えました。これは50年に亘りその時代の社会課題を解決するために方針を定め、さらには中長期ビジョンを策定して在籍していた会員が 情熱を持って展開してきた運動が行政、関係諸団体および市民の皆様にご理解ご協力を 得られてきたからこそであります。そして2024年度は昨年改めて策定した10年活動ビジョンの大切な1年目として「発新~笑顔あふれる地域へ~」を軸に運動を続けてまいります。


青年会議所の運動は明るい豊かな社会を築き上げることを目指してまちの課題を解決するために行っています。運動を伝播させていくには直面しているまちの課題に対してその理想的な状態を想像し、そこに至るまでの過程を考えることがなによりも重要です。こうあって欲しいという個人の願いから始まり、自らが行動していく中でその願いがひとに 伝播し、小さな流れが大きな流れに成長することでまちの未来が切り開かれます。青年 会議所が単独でまちの課題を解決するために事業を行うだけでなく、目的に共感するひとを巻き込んで主体的に行動してもらえるような仕掛けが必要です。青年会議所活動を通じてまちの理想的な状態という願いを、共感して主体的に行動するひとが増えるように伝播していくことが出来る人材を育成し、明るい豊かな社会を目指して運動を広げていきます。

【越谷青年会議所づくり】

青年会議所は総会、理事会および委員会と会議を活動の根幹とする組織であるからこそ一つ一つの会議を大切にしなければなりません。質の高い会議を重ねていくことで事業の質を向上させ、目的の達成に近づいていくことが出来ます。会議の基礎となる委員会運営から会議の質を上げていくためにも対面やICT等の開催方法の特徴を考慮した効率的な会議運営を確立します。効率的で質の高い会議は参加者のモチベーションを向上させ、 積極的な行動を自発させることが出来ます。それにより多くの願いを伝播し、社会課題を
解決していくことにつながります。


越谷青年会議所を広く認知してもらうことは運動を広げる面においても会員拡大の面においてもとても重要です。一人でも多くの市民に活動を伝え、共感してもらいます。そのためにSNSやホームページ等では事業告知や事業報告のみならず準備状況も発信し、さらにはメディア等の露出を増やした広報活動を行っていきます。多くのひとに青年会議所の活動が伝播することで青年会議所の門を叩くひと、運動に共感する団体が増えることに繋がります。


青年会議所はその活動運動の中でリーダーシップをとって積極的にまちづくりに関わる人材を育成することが出来る団体です。そのような人材を増やし、このまちがよりよい 未来に向かうためにも会員拡大が必要です。会員の数だけ願いが生まれ、会員の数だけ 切磋琢磨し、会員の数だけ友情が生まれます。越谷青年会議所は一致団結し、全員拡大に よって同志を15名拡大します。
近年コロナ禍の影響により対面での活動経験が少なくなったため、活動の中で会員相互のコミュニケーションにより引き継がれてきたマナーや情熱を改めて身に着けることが 必要です。2020年度以降に入会したメンバーを中心にアカデミー塾を開校し、マナーやプロトコルを始め運動構築や青年会議所で得られるものを学ぶことで青年会議所活動の理念を理解し、リーダーシップをもって願いを実現していく人材へ成長することが出来る機会を提供します。

【ひと・まちづくり】

越谷市は多方面に交通網がつながっており、ショッピング施設や商店街が豊富でありながらも、水と緑の豊かな自然に恵まれています。そんな越谷市に対して越谷市民は愛着を持ち、定住していきたいと感じています。しかし越谷市には全国に2か所しかない宮内庁が管理する鴨場である埼玉鴨場、四季折々の風情が楽しめる日本庭園である花田苑や県内唯一の屋外能舞台があるこしがや能楽堂などランドマーク足り得る施設が存在していますが、その認知は10代後半から30代の若年層ほど少なくなっている現状があります。 住民の満足度を向上させて定住意向を高めるためにもそういった施設において若年層を 中心に魅力的な発信を行う仕組みを作り、ランドマークとして誇れるものを増やすことで越谷市への愛着を伝播していきます。


越谷青年会議所として継続しているわんぱく相撲は今年で36回を迎え、毎年多くの 小学生にわんぱく力士として参加いただいております。真剣に取り組む子どもたちが勝った時の喜び方や負けた時の悔しがり方を見ると成長して無くしてしまいがちな何に対しても真剣に挑戦する姿勢を思い出させてくれます。子どもたちが真剣勝負により挑戦心を 育むことが出来るとともに、大人たちにも物事に対して真剣に取り組む意識の重要さを 再認識することが出来るわんぱく相撲越谷場所を開催します。さらには県大会や全国大会
へと大きな挑戦が出来る機会でもあり、本気になって大きな挑戦をしたという体験を通して子どもたちの達成感や自己肯定感を育みます。


まちを活性化させ地域力を高めるには住民の積極的な地域活動への参加が重要です。 地域活動への参加と地域への愛着は強い相関関係がありますが、越谷市においては高い値で愛着があるのに対して、家族の次に身近なコミュニティであるはずの自治会への加入率はメリットが感じられないことや役員就任への負担を理由に年々減少しています。身近なコミュニティが活性化することで防災意識や防犯意識が伝播され、安全安心を感じられるまちとなるため、現在の生活様式に合わせて青年世代が中心となる地域コミュニティを 構築します。地域コミュニティが活性化することで地域を想うひととひととのつながりが強くなり、地域活動に参加するひとが増えて地域力が高まります。


越谷市民まつりは今年で49回を迎え、数多くの団体が参画する越谷市でも特に大きなまつりのひとつとなっています。本年の市民まつりは越谷市役所新庁舎が竣工することから新庁舎周辺を有効活用し、新庁舎の活用方法を模索します。越谷市民まつりをきっかけに多くの市民が市役所周辺を活用することで、市役所周辺の活性化につなげます。また、多くの市民が来場する越谷市民まつりにおいて参画団体に所属していない市民も参加出来るような企画を創出し、「行くおまつり」から「参加するおまつり」とすることで越谷市民まつりへの参加意識を伝播していき、「市民の手づくりによる、市民のための市民まつり」の発展につなげます。

地域経済づくり

地域において制度・分野・属性などの関係を超えてひととひと、ひとと資源がつながることで、誰もが支え・支えられ、役割と生きがいを持つ社会を目指した地域共生社会の 実現に向けて越谷市においても様々な取り組みが進められています。地域共生社会の実現をさらに一歩進めるためには地域の課題解決に向けて企業と地域住民や地域団体、企業と企業を結びつけることが必要です。そのためにもまずは企業がイベントへの人的支援や 寄付金等、地域共生を目指した様々な取り組みを行っている中、このまちにおいて社会 課題を解決するためには企業と地域がどのように関わっていくことが有効なのかを調査 研究します。そして地域の課題を資源と捉え、単独では活用が難しいものでも分野を超えて連携することが出来れば新たな価値が創造されます。地域の課題と地域と企業の有効な関わり方を紐づけて、企業を巻き込んだ地域共生のモデルを創造します。企業と地域が 密接な関係になることで生まれる価値により、地域住民が越谷市の資源を有効活用するようになり、企業には雇用や新たな事業が生まれます。このような地域の好循環が伝播していけば地域経済の発展につながっていきます。

結びに

青年会議所における一番の失敗は何もしないことです。何もしないとひととのつながりも自身の経験も何も生まれません。青年会議所に入会してからこれまでにLOM内外を 問わず様々な経験をさせていただきました。青年会議所で活動しているからこそ出会えたひと、出来たつながりが数多くあります。そこで感じたことは、積極的に活動している ひとは未来を想像していることです。自分たちの活動の先に何が生まれてほしいのか、どういう動きが生じて欲しいのか、それが願いとなり、実現させたいと行動するようになります。そしてその行動が様々なつながりを生み、それぞれに願いを伝播していくことで 活動が 運動へと広がっていきます。それが自身の成長へとつながり、さらに多くの願いを伝播することが出来るようになり、笑顔あふれる地域へとなっていきます。
青年会議所に入会したからこそ積極的に活動し、明るい豊かな社会を目指して願いを 持って運動を伝播していきましょう。